日本の回避主義
つい先日、政府が、デジタル庁 事務方トップに伊藤穰一氏を起用する方向で進めながら、最終的に、亡きジェフリー・エプスタイン氏との関係性批判を(たぶん)恐れて見送った。
そんなこと、伊藤氏について一行目に書いているような明白な話で、その上での起用だったはずなのに、なぜ直後に取り消すようなことになるのだろうか。
台湾がデジタル担当大臣にオードリー・タン氏(台湾IT界の偉大な10人の1人として35歳で就任)を大抜擢したことに触発されたのか、日本のIT界における偉大な10人の1人ともいえる伊藤穰一氏の名前があがったときには、日本もたまには素晴らしい人選をするなと思ったのだが、何だろう、無難主義なのか、事なかれの回避主義なのか。いつものやつだね。
米国の実利主義
今年6月、米国 連邦取引委員会(日本の公正取引委員会にあたる組織)の委員長に、リナ・カーン氏(32歳女性)が任命された。さすが、アメリカって国は明確な実利主義で羨ましい。
アマゾンの市場支配を批判する急先鋒として知られ、大統領が彼女を指名したことにより、今後、政府が巨大IT企業による市場支配に厳しく対処していく姿勢が明確になったとされる。
アマゾンは早速、彼女を政策決定に関与させないよう陳情したようだが、社会は、彼女に限らず、有能でバリバリと仕事のできる30代を中心に動かしていくべきだと思う。それが、未来にとって最も正しい判断になるだろうから。
便利で楽しいGAFAが強くなりすぎると何が問題なのか
誰もが日常的にGoogleのサービスを利用しているし、Youtubeも観るし買い物はAmazonだし、会社の事業サービスはAmazonのAWSサーバーを使ってるしで、無くてはならないインフラになっているが・・・彼らの目の奥は笑っていないから、常に信用はしていない。
というか、特にGoogleは(やり方が)嫌いに近い。可能なら離れておきたい。
と言いながら、シリコンバレーのGoogle本社で嬉しそうに写真撮ったりもするの図。
※社員食堂がメニューでオーダーするレストランレベルながら全部無料でゴチにもなったが。
無料で集め、日常化させ、課金を始め、大きく値上げする
ほとんどの巨大IT企業はこのパターンを行なっている。
以前に、楽天が出店業者に無料配送を強いたことが大きな問題になったが、Amazonとのすみわけが見え始めたころから、出店料を上げ、マージンを上げ、配送費を負担させてきた。今後も値下げ要求やマージン率を上げていくだろう。
素敵な笑顔で近寄ってくるが、目の奥は笑っていないことを覚えておく
Youtubeも完全無料から一部広告へ、今年から全部広告になった反動でプレミアム会員数が増えているが、今後、必ずその値上げをするだろう。
NetflixもSpotifyも値上げした、freeeも10倍値上げ。
Amazonプライムは値上げ、Youtuberへの支払いも当然 ギリギリまで下げるだろう。
Amazonもマージン率を着実に値上げしており、弊社も使っているAWSサーバーも事業インフラになっているから、今後、限界まで値上げをしてくるだろう。
資本主義が究極点に到達すると、まるで社会主義になる
町の雑貨店がコンビニになって、酒屋もタバコ屋も、コーヒー屋もデザート屋も、あらゆる商品・食品もコンビニのPB商品に置き換わって飲み込まれていく。
確かに、誰にとっても便利だし必須のライフラインと化しているが、ふと気づいたときには、コンビニが世の中の生活コストを決めている状況になるだろう。
いくら負担させるのか、いくら還元するのかを独占的に決める立場。
つまり、究極点は社会主義の形式となる。
中国の試行錯誤はひとごとではない
中国は、明確な社会主義から市場経済主義となり飛躍的な成長を遂げた。
ここから本格的に資本主義へと移行するのかと思いきや、最近のウイグル、香港、台湾への対応や、国内の市場経済に対する強烈な関与施策をみると、社会主義そのものに見える。
先進国であっても、「究極の独占化はまるで社会主義」とするなら、知ってか知らずか、中国の試行錯誤は壮大な社会実験として世界の参考材料になるのではないだろうか。
と言っても、50年100年先の世界を占うような話なので、何の役にも立たない話だが。
話は戻るが
完全に市場任せてほったらかしにしていては、100年先ではなく10年先の問題になるだろう。
そういう意味でも、今回、連邦取引委員会の委員長にリナ・カーン氏が起用されたことや、先般のG20でデジタル課税や国際課税ルールの基本合意がされたりするなど、ちょいちょい調整を繰り返さなければならないのだと思う。
まぁ、私が世界の心配しても仕方ないので、来週の天気でも心配することにしよう。