Amazon Prime Video『オリバー・ストーン・オン・プーチン』  が非常に参考になった。

ハリウッドを代表するアカデミー賞受賞映画監督オリバー・ストーンは、約2年以上にわたり、現ロシア大統領ウラジーミル・プーチンに、いくつものインタビューを重ねた。

インタビューには、テーマもリミットもない。プーチンのプライベートな部分、政治家としての部分、共産主義の下で過ごした幼少期から権力を握るまでにのぼりつめた現在まで。また、彼が築いてきた米大統領との関係性など、様々な事柄について語りつくされている。

ストーン監督は、アメリカがプーチンを敵視する中、アメリカ人インタビューアーとして、あらゆる出来事に対するロシア及びプーチンの考えの真相を徹底的に追求している。

全4回で構成された濃密なドキュメンタリーである。

ウクライナ、ロシア、アメリカ。それぞれに思惑がある。

ロシア、プーチンの残虐な戦争を養護するつもりはさらさらないが、今回の戦争がどういう背景で起こったのか、どうしてこれほどの残虐性を持ってまでプーチンは戦争を続けているのか、深く理解することができた。

口約束だけで信用するか、約束を文書に残したか

結局のところ、30年前に、当時のゴルバチョフ = ソ連共産党書記長(現代のロシア大統領に相当)とアメリカの間で交わされた約束事「NATO東方不拡大」が公文書として残されていなかったことに端を発している。それが真実なのだろうと感じている。

もし、「NATOは東方へ1インチたりとも拡大しない」という会話が、約束として公文書に残されていたら、今日の状況はまったく違ったものになっただろう。
もっと良くなっていたか、もっと悪くなっていたか、は別として。

実際はアメリカとロシア2国間の覇権問題

現代、アメリカにとって中国が、真の覇権争い国となったことにより、ロシアを抑えこんでおかなければならなくなった。そういう事情がはっきりと見えてくる。

アメリカはしたたかだ

日本を軟弱化させたのはまさしくアメリカだ。90年代、日本人は働きすぎだと今日のような労働環境へと弱体化させてきたが、現代ではアメリカの方が長時間労働で生産性を伸ばしている。

アメリカは「世界の長」であるために、時には強引に、時にはしたたかに打って出てくる。その強欲さにはうんざりもするが、中国やロシアが世界の覇権国となるより数倍まし、とも言える。

何事も、片方だけでなく両方の意見を聞くことが大事

ロシア国内でのニュースと、NATOや同盟国でのニュースでは全く違い、そのニュースによって国民は強い思い込みを持つ。

また、それぞれ相手側国内でのニュースは、真実を隠している、フェイクである、プロパガンダである。と言い合うが、どちらにも多かれ少なかれフェイクやプロパガンダはある。

たとえ、それがロシアであっても、冷静に相手の意見や思想を聞かなければ、絶対に互いを理解しあえない。

もし自分が、ロシア国内に住むロシア人だとしたら?

今日、何を考えているだろう。

きっと今夜の食事を楽しみにしたり、週末の予定を入れたり、「最近、野菜が高いんだよなぁ」程度のことを感じているのかもしれない。

また、ウクライナによって自国の軍人が多数亡くなっていることに怒っているかもしれない。

いや、きっとそうだろう。

今回の戦争に限らず、人はそれぞれの立場で、それぞれが正当だと信じてる。
ということだ。正解なんて存在しない。

この文章に結論はない

ただ、あらためて、両方に自分なりの思想がある。ということを再確認した。