「ふるさと納税」について、利用したこともなく中身も詳しく知らないので、言える立場ではないが、大雑把に言って、” 実質2,000円の負担で、高級な肉とか家電製品がもらえる?” なんて、なんだか違和感のある不自然な制度だなぁ…とは、ずっと感じている。
元々は「自分が納めた税金を、今住んでいる街でなく自分の故郷に納税できる」そのままの制度であったと思う。
その当時、思ったのは「それは良いなぁ。今住んでる街より、生まれ育った街に恩返ししたいし」。
でも、結局申請しなかった。なんか手続きが面倒だったから。
言い換えれば、その程度の思いの低さなのだろうけど。
あれから数年。
今の概念は「ふるさと納税」=「自分が得するための制度」で定着しているように思う。また自治体も、原価をかけて税金を集め、差額をプラス収支として考えている。
単純に考えて、納税者も地方自治体も、両方が “得” をしているのなら、いったい誰が “損” をしているのだろうか。
元々は、例えば100円という納税額が増えているわけではないのだから、必ずどこかで “損” というか、減っているはず。
普通で考えれば、大都市の税収が減っているのだろう。
でも、本当にただそれだけのことだろうか。
自治体が獲得した実質税収は、返礼品の原価を差し引いた”差額” でしかないし、この処理手続きに要する公務員の人件費、システムの構築費もかかっている。
国全体としては収入が減り支出が増えたので損失だが、それで利益を上げる企業や社員、公務員もいるわけだから、公共工事と変わりないとも言える。
ということで、良いように考えれば、納税者が税の使いみちを選べる制度ではあるが、であれば、こんな原価や手間をかけず、もっとカンタンに納税先を選べるようにして、直接的に選択できるようにしてくれれば良いと思う。
地方自治体も、肉とか電化製品なんて無意味な返礼品で競走するのでなく、うちは学校にこんなインフラを整える、とか、うちは特別養護老人ホームを2倍に増やすなど、うちは税金をこういう風に使いますと宣言して、それを応援してもらうために納税して欲しいと訴求するのが、本来の姿ではないだろうか。
で、マイナンバーを活用したシステムにしてプルダウンメニューでカンタンに選べたら、または、返信ハガキにして選択するとか。
総務省が「ふるさと納税の理念」を掲載している。
- 納税者が寄付先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
- お世話になった地域、これから応援したい地域の力になれる制度であること。
- 自治体が国民に取組をアピールし、選んでもうらうに相応しい地域のあり方を考える制度。
とっても良い理念だと思う。
もっともっと、この理念を世に伝える活動をしてほしい。
企業であれ総務省であれ、理念を決めた時の思想は美しく、その日の思いを持ち続けなければならない。
ここまで書いて読み返してみると、何だかキレイ事を言い放っているようにも感じる。
が、やはり、理念に立ち戻り、理念を実現するための仕組みにして欲しいと願う。
それが、より豊かでより幸せになための正しい方法なのだから。