ある方の講演でこの本を知った。『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』
若き医師が腫瘍に冒され、全身転移を防ぐために片足を切断しながらも、妻子を残し若干32歳の若さでこの世を去ってゆく手記だ。
死期を悟った日、すべての些末なものが美しく見えはじめる。
そこから、無念さと優しさが交錯しながら手記が綴られている。
はたして自分がその日を迎える時、どんな事を考えるのだろうか。
田坂広志氏は、なぜ悔いのない人生を生きるべきかをこう説く。
人は必ず死ぬ。人生は一度しかない。人はいつ死ぬかわからない。
それなのに私たちは、不思議なまでに当事者意識になれない。
若き医師が感じたように、死を覚悟するまで、“ささやかな今日” の美しさを知ることができないのだろうか。
自分のその時は、5年後かもしれないし50年後かもしれない。
願わくば妻や友よりも先に迎えたいので70歳くらいが理想か。
さらに願うなら、いつも通りに眠り、朝を迎えない感じがいい。
そういう事を考えていると、逆に気持ちが生き生きしてくる。
人間とは不思議なものだ。
よく引用するけど、岡本太郎の言葉が美しい。
本当に生きる、ということは
死んでもいい、ということだ自分を叩き潰してやる。
そうすれば逆に猛烈に自分がひらけ
モリモリ生きていける。