世の中には様々なビジネスが存在する。
タウンページの業種一覧によると、その数2,000業種以上。
さらに、たとえば「通信販売業」という1つの業種をとってみても、ジャパネットのように大々的にメディアを活用するものから、個人事業主が細々とやっているものまで多種多様で、業種と業態を掛け合わせると、ビジネスのバリエーションは数万、数十万になる。
これだけ無数ともいえるビジネスバリエーションがありながら、起業する際には、基本的にどれか一つに絞り込んで選択しなければならない。数十万種類のうち、どれか一つ。
では、起業する人々は何をもってその一つを選んだのか。
この、重要性極まりない決断をどうやって行なったのか。
現実は、多くの場合、不思議なほどこれを簡単に選択している。
どういう選択かと言えば、ある日ある一つの業種業態がポッと目の前に現れ、それをヤルか or ヤラないか、という勇気の有る無しの二択。
数万、数十万種類の中から一つを選び出したのではなく、ポッと現れた “それはアリかも” 的なものをヤルかヤラないかの二択である。
冷静になり論理的に考えれば、” これから経営者になるにあたって一番最初に行う最も重要な判断 ” と言えるのに、非常に安易に思える。
孫正義は、事業を一つ選び出すためだけに一年かけた。
勤めながら考えたのではなく、これからやる事業を選び出すためにユニソン・ワールドという会社を設立し、一年間、事業を選び出すこと “だけ” を行なった。
そこまでいかなくても「人生をかけるであろう事業の選択」を安易に行なっているのは見ているだけでも危なっかしい。
国税庁によると、設立5年で85%、10年で94%の会社が倒産廃業しているが、必死に頑張れば生き残るわけでもない。
そんなものは、当然ながら全員がやっている。
実際は、事業を開始する前からある程度、上手くいくモノと上手くいかないモノに分かれているのが現実だ。
100人が事業を始め、10年後に5人が残っているわけではない。
90人の無策な人々がほぼすべて消え、10人の計画的な人のうち半数の5人が残っている。そのような内訳ではないだろうか。
ならば、どうすれば成功する事業モデルを見極められるのか。
そんな事は解らない。(^_^;)
解らないけど・・・成功確率を上げることはできる。
そもそも「事業の成功」とは何をもって成功とするか定義する必要はあるが、もし、それを「長期にわたり儲かり続けること」とするなら、下記の条件フィルターをかけると、それに近づく可能性はグッと高まる。
業種によってもちろん違いはあるが、私の使っている事業選択フィルターは下記となる。
1.複製して販売できるか(レバレッジ)
原型を良くすることに集中投資し、何度も繰り返し複製して儲ける
2.粗利率は70%以上取れるか(粗利思考)
多くの場合、供給元になるか独自の付加価値が必要
3.その市場は大き過ぎず小さ過ぎないか(ニッチトップ)
大手と競合することなくカテゴリートップを静かに確保
4.先々、自分が不在でも動き続けるか(キャピタルゲイン)
自分の労働時間と業績の関係性を切り離し、あらゆる選択肢を持つ
5.継続収入を生み出すものか(キャッシュフロー)
毎日、川に水をくみに行く努力より、支流を作る工事に汗をかく
6.初期投資が低いか(ディフェンス)
勝とうとする前に、まず負けない体制をつくる
7.他社が参入しにくい障壁があるか(参入障壁)
簡単に始められるものは、簡単に打ち負かされる
8.昇りエスカレターの業界であるか(大きな流れに乗る)
市場ニーズの方向と合っているか
9.無償でもやりたいほど好きなものか楽しいものか(マインド)
好きでもないものを売り続けることはできない