子供の頃、ワァワァはしゃいでいると、見知らぬオッサンに「ゴるぁ!じゃかましいんじゃ!静かにせんかい!⚡⚡」なんて怒られた記憶があるが、今では、そんな風景を見ることも少なくなった。

きっと20年前に「オヤジ狩り」なんて言葉が出始めた頃からではないだろうか。

”今の若い奴らは、年長者に対して平気で反論し暴力すらふるう”。そんな共通認識が浸透し始めた頃から、触らぬ神に祟り無しで、いわゆるカミナリオヤジが絶滅危惧種になったのではないか。

酒に酔うと大口たたくようなヘタレオヤジはいるが、カミナリオヤジには多少なりとも「人に迷惑をかけるな」という道徳感を背景にしているので、それとは分けておきたい。

そんな「カミナリオヤジ」なのだが、なんと盆休み中に、2回も出くわしたのだ。

一回目は、大阪のサウナ。

10人くらいのオッサンが(ワシ含む)汗だくになって黙々と耐えているとき、20代前半くらいの男二人が、「嫁がどうした」とか「バーベキューに行ってさぁ」とか、延々ダラダラしゃべっていて、私も「オバハンみたな、しょーもない会話をいつまでしゃべっとんねん」と思っていたが、次の瞬間、50代くらいのオッサンが「お前らじゃかましんじゃ!だーっとれ!」とカミナリを落とした。

久しぶりに気持ちのいいカミナリで、男二人は無言になった。

そして今日。芦屋のスーパー銭湯にて。(風呂ばっかりかい!)

高校生ぐらいの若者5~6人がワイワイはしゃぎながら露天風呂に入ってきた。その瞬間、60代くらいのオッサンが「うるさい!静かにせーいっ!」と速攻カミナリを落とした。

若者の一人が間髪入れず「すみません!」とあやまり、それを受けオッサンが静かにさとすように言った。「もう、一般常識をわきまえなアカン年代だからな、楽しいんだと思うけどゴメンよ」と。またそれを受け若者は「こちらこそ、ごめんなさい」と言った。

なんだか、爽やかな光景だった。

そこから少し考えさせられた。自分はいつも傍観者ではないか…

正直なところ、腹は立つけど喧嘩にもなりたくないし、ましてや逆ギレなんかされたら何日も怒りの感情に振り回されるだろう。だから今はこらえておこう。恥ずかしながらこれがいつもの感情だ。

相手が小さな子供であってもそうかもしれない。これだけしつけがなってないなら、だいたい親もバカなはず。「親バカ」なら許せるが「バカな親」は始末が悪い。関わらない方が良かろうと。

だからと言ってカミナリオヤジになろう!というわけではない。

一応、教育的、道徳的な意味合いがあったとしても、基本的にカミナリを落とせる人は瞬間湯沸かし器。正直、9:1くらいの割合で「叱り」よりも「怒り」の方が勝っているのだと思う。

だから、意図的にカミナリオヤジに “成る” or “成らない” を選択するものではなく、その人の性格によるところが大きい。

人にはそれぞれ何らかの役割が与えられている。
自分の役割をこなすまでだ。

もしかして「20年ひと時代」、一周回ってHe will be back か?
時代が求め、カミナリオヤジが帰ってきたのかもしれない。