田坂広志は言う。「人生で起きることすべて良きこと」

私も歳を重ねて、今は、心の底からそう思えるようになった。
でも、若い頃は、とてもそんな風に思えなかった。

何年も同じような仕事が続き、汗と成果は1:1だった。

自信の持てない商材、客に隠し事をしないといけない苦痛。

それに比べて、あの会社は販売の仕組みがあるし、あの商材なら俺はもっと売れるとか、そればかりに目がいった。ある時期は、視点を変え、“仕事は食べるための作業” として割り切り、プライベートを中心に生きている時期もあった。

あの頃の自分に対して「その試練は良きこと、君に必要なこと」などと教えてあげても、心の底から「本当にそう思うよ」なんて言えるわけがない。なぜなら「あれは良きことだった、必要なことだった」と、今日、実感することができないからだ。

当然ながら、体験による実感 はずっと未来にしかない。

今、葛藤している “点” と、5年10年先に体験する “点” とを、今日、結ぶことはできない

痛みを感じない時、楽な気分の時は、成長が止まっている。
骨や心臓に痛みを感じる時に、体格が変わろうとしている。

誰でもできることなら、自分でなくてもいいということ。

成長期に現実逃避や気分転換で痛みをさけてはいけない。
骨を強くし心臓を強くして、痛みのない体格にする時期なのだ。

では、大人の体格になるためには何が必要か。
周りが見え、自分が見えるよう、素直で謙虚になることだろう。

と、10年後の私が、今日の私に語っているのだ。
早く大人になりた~い