ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記 (日経ビジネス人文庫)
ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記 (日経ビジネス人文庫)
鳥羽 博道
ビジネス本は色々あるけれど、やはり経営者の創業記や半生を書き綴ったビジネス人物伝が一番好きだ。
ドトールコーヒー創業者の鳥羽氏に限らず、多くの経営者は血の気が引くような恐怖の時とドーパミンが溢れる喜びの瞬間を幾度か経験している。
自分の半生を書き綴る時、著者は可能な限りありのままを語ろうとする。
そこに共感し、読み終わった後には体の中に熱い何かが注入されたような気分になる。 これもそのような本です。
最後のほうに下記のような記述がある。

私は、以前、社員のさらなる意識改革を促すために「社員ひとり残らず、サラリーマンからビジネスマンに転身してもらいたい」と全社員に対して言ったことがある。

この部分には本当に驚いた。
私もまったく同じこと、「サラリーマンを辞めビジネスマンになれ」と会社で言い続けていたから。
サラリーマンとビジネスマンはまったく違う。
会社勤めから独立創業した経営者の前身は、
サラリーマンでなくビジネスマンである。
もしそうでないとしたら、その会社は存続できていないはず。
経営者になろうと思う者は、まずビジネスマンになる必要がある。
いや、生涯勤め続けるとしてもビジネスマンになる必要がある。
機械を分解して再度組立て直した時、ビスが一つ余ることがある。
しかし、どうやら機械の動きには問題ないようなので、とりあえず余ったビスを手元に残しておくが、次の瞬間にはその存在を忘れ去り、やがてはその実態さえも消え去ってしまう。最初から存在意義さえなかったように。
そのような歯車にもならないビスになってはいけない。
機械を加速させるギアになり、さらに動力源になり、やがて機械(機会)を組み立てる人にならなければならない。
自分を大切にしたいなら、家族を守りたい幸せにしたいなら、なおさらに。